坂根谷右谷(さかねだにみぎたに)藤十郎(とうじゅうろう)ウラオレ谷(うらおれだに)
 
単独 2010.10.16
那須ギャラリー(7:30)→トリゴエ谷取付(7:45)→鳥越キビレ(8:10)→坂根谷堰堤(8:44)→坂根谷二俣(9:05)→右谷F(9:41)→F(9:47)→F(10:23)→F(10:40)→F(10:53)→F(10:58)→尾根(11:09)→登山道(11:37)→藤十郎(11:40)→分岐(12:00)→ウラオレ谷入渓(12:06)→昼食→三つ滝上段落口(12:43)→三つ滝中段(12:50)→三つ滝下段(12:53)→ナメラ滝(12:59)→アラオレ谷F(13:06)→取水口(13:51/14:10)→風小屋林道(14:17)→うらおれ橋(14:22)→那須ギャラリー(14:29)
アルバム

トリゴエ谷取付(7:45)

鳥越キビレ(8:10)
那須から鳥越キビレを越えて坂根谷に入り、右谷を遡行して藤十郎に立ち、ウラオレ谷を下降した。那須ギャラリーの前に車を駐める。集落の人に山越えの径を尋ねると、「この下にあり、きのう刈ったばかりだからすぐ分かる」とのこと。県道を下って行くと、それらしい径がある。取付に最近手を入れられた形跡はなく、躊躇しながら奥に入ってみると、谷沿いに刈り払われたばかりの径が続いていた。お陰で難なく鳥越キビレに立つことができた。峠から先は、植林地の中を良い径が通っていた。イデガ谷からツリンボウの谷に乗り越して下って行くと坂根谷の上集落に出た。
 

坂根谷上集落(8:38)

坂根谷二俣(9:05)
5軒の家屋があるが、いずれも無人で、うち2軒は廃屋のようだ。どの家の庭先にもクリや柿木が植えられているが、その果実はきれいに採り尽くされている。無人と化した集落は、熊の別天地に違いない。里道を上がっていくと、奥三ツ倉東尾根の末端垂壁が見えてくる。70~80mはあろうか、壮観である。この垂壁、「オオ懸崖(だき)」と呼ばれている。里道終点から坂根谷右岸に渡り、砂防堰堤を越えた所から入渓する。15分ばかりゴーロの谷を遡って行くと二俣がある。右谷に水流はなく、オオ懸崖を左に見て、岩塊斜面の登りがしばらく続く。右谷に入って5分の所に分岐があるが、左に行くと、ボロボロの崖を攀じ登って奥三ツ倉東尾根に這い上がる破目になるので、要注意。
 

坂根谷右谷F(9:41)

坂根谷右谷F(9:47)
大きな転石の中を35分も登って行くと、この谷の核心部、大ゴルジュが姿を現す。F1は滝壺に入り水流の落下点に取り付けば、突っ張って登れるが、この時期、泳ぐのは嫌で右岸を巻いた。F2はこの谷一番の難関である。右岸を攀って残置ボルトを支点に振子で下段落口に降り、シャワーを浴びて上段を遡る。最後が難しく、突っ張って登るのが良い。ボルトは2007年8月に残置したもの。
   

坂根谷右谷の大ゴルジュ F落口より(10:24)

坂根谷右谷中の谷F(10:23)
F2上部のシャワークライミングで2m落下。ずぶ濡れになってやっと落口に立った。見下ろせば、数十㍍の右岸岩壁と二十㍍ぐらいの左岸垂壁の底を細流が落ちている。この辺りでは珍しいV字ゴルジュ。F2の上にも直瀑F3が架かっている。一見、難しそうであるが、左岸のホールド、スタンスはともに良好で容易に落口に立てる。

坂根谷右谷F(10:43)

 坂根谷右谷F(10:58)
核心部を抜けても滝は続き、F4から最後のF10までの約30分は、息つく暇もないほどだ。F10のほかは美しいナメラの滝で、とりわけF7とF9が大きく、いずれも20m近くある。ヌルゴケで滑るので注意が必要だが、愉快な滝登りの連続である。白状すると、F8中間部でスリップして前歯1本を折る大失態をやらかした。痛かったぁ~。
   

藤十郎(11:40)

ウラオレ谷入渓点(12:06)
F10から上はゴーロの谷になる。尾根に取り付いて中三ツ倉東尾根の登山道に上がった。数㍍先のササの中に熊さんの気配。そーっと通らせてもらう。東に200m、見慣れた藤十郎の標柱があった。藤十郎を北に折れて7分ほど下った所から登山道を棄て、西側のウラオレ谷源流域に降りた。東側は植林帯、西側は闊葉樹の明るい谷である。水流は細い。少し下って、磧に腰掛けて昼食(12:09/25)にした。 
   

ウラオレ谷三つ滝上段(12;47) 

ウラオレ谷三つ滝中段(12:50)
ウラオレ谷に入渓してしばらくは平凡な谷が続く。600m余り下った所に、この谷の核心、「三つ滝」が落ちていた。呼名のとおり釜を持った5mぐらいの滝が三つ続く。ホールドもスタンスもしっかりしており、どれも直登できるが、坂根谷と同様、ヌルゴケで滑るので、注意が必要だ。この際、上段の滝は大事をとって左岸を巻いて降りた。 
   

ウラオレ谷三つ滝下段(12:53)

右俣に架かる滝(12:51)
三つ滝は、那須から西に入り込んだウラオレ谷が、南北に分岐して十方稜線に突き上げる二俣の左俣口に架かっている。右俣も懸崖になっていて、闊葉樹の間を二条の滝が落ちていた。二俣に降り立ち、紅葉に彩られた渓畔の様子を思い浮かべてみる。うーん、素敵なところだ。11月にも来てみたい。
   

取水口(13:51) 

那須地区(14:25)
三つ滝から下にも滑滝や滑床が続くが、ワル谷の出合を過ぎると平凡になる。1時間近く下ると取水口があった。ここで沢靴を履き替え、水路をたどって風小屋林道に出た。林道を下ると、うらおれ橋の奥(イタホシ谷方面?)で砂防堰堤の工事をやっていた。那須に帰り着くと、まだ2時半ばというのに西側は日が陰っている。ウーン、山里の秋の日は短い。 



軌跡図 
                                                   所要時間:6時間56分、歩行距離:10.8㎞