樅沢岳(もみさわだけ)槍ヶ岳(やりがたけ)燕岳(つばくろだけ)
 
単独 2010.08.08-11
8/8 
新穂高温泉(15:10/20)→ワサビ平小屋(16:20)
8/9 
ワサビ平小屋(4:20)→奥丸山分岐(4:39)→秩父沢(5:20)→シシウドヶ原(6:17)→鏡平山荘(6:51/57)→弓折乗越(7:39)→花見平(7:56)→双六小屋(8:45/50)→樅沢岳(9:16/26)→硫黄乗越(9:56)→昼食(11:03/18)→千丈沢乗越(11:40)→槍ヶ岳山荘(12:30/52)→槍ヶ岳(13:24)→槍ヶ岳山荘(13:36)
8/10 
槍ヶ岳山荘(4:11)→ヒュッテ大槍(4:50)→水俣乗越(5:40)→ヒュッテ西岳(6:24)→西岳(6:30)→赤岩岳(7:17)→貧乏沢のコル(7:50)→大天井ヒュッテ(8:13/42)→切通岩(9:16/24)→大下りの頭(10:15)→蛙岩(10:29)→燕山荘(10:55/11:09)→燕岳(11:34)→燕山荘(11:54)→合戦小屋(12:27)→第二ベンチ(13:18)→第一ベンチ(13:32)→中房温泉(13:57)
8/11 
中房温泉(7:37)→たる沢の滝(7:56)→有明荘(8:07)
アルバム

蒲田川 新穂高温泉バスターミナルより(8/8 15:18)

笠新道登山口(16:10)
松本電鉄バスターミナル(JR松本駅前エスパ松本店1階)から2時間の道程、やっと新穂高温泉バスターミナルに着く。曇り空ではあるが、なんとか持ちそう。橋を渡って、蒲田川左俣林道に入る。笠ヶ岳穴毛谷の砂防堰堤群を仰ぎ見ながら、未舗装の林道を上って行く。まるで石積みされたような岩塊の斜面が対岸に見えると、間もなく中崎橋。渡って10分ばかりで、笠新道登山口に着いた。
 

ワサビ平小屋(16:21)

秩父沢(8/9 5:20)
さらに10分。途中、雨に遭うこともなく、快調なペースでワサビ平小屋に着いた。ワサビ平はわさびの名水といわれる沢が小屋の前を流れていることから来ているらしい。予想どおり混雑していたが、ほぼ布団1枚を使えたことが何より嬉しい。ウトウトして8時間を過ごし、3時30分に起床。朝食(パン)、トイレ、洗面を済ませ、4時20分にヘッデンを点して出発。約1時間で秩父沢に着いた。氷水のような沢の水で顔を洗うと、気分爽快、活力がみなぎってきた。
 

焼岳 チボ岩より(5:33)

鏡平山荘(6:57)
秩父小沢の右岸に降りていく所に、チボ岩と書かれた意味不明の岩がある。そこから南を顧みれば、高曇りの早暁の空に、焼岳の荒々しい山容がくっきりと浮かび上がっていた。2年ぶりに鏡池で槍・穂高連峰の眺めを堪能する。山荘前のテラスは、出発前の登山者で大賑わいだ。ここに来て青空がのぞいてきた。自分も含めて、みんなニカニカ顔になっている。
   

弓折乗越(7:39)

鏡平俯瞰 弓折乗越北の稜線より(7:44)
鏡平からは、池畔の木道を行ってダケカンバの林の坂道に取り付く。やがて森林限界を超えると、ニッコウキスゲやウサキギクなどが咲くお花畑になり、鏡平から40分で弓折乗越に出た。ここも槍・穂高のビューポイント。大勢の登山者が一息入れていた。稜線の径は、左に双六谷、右に左俣谷を見下ろしてお花畑の中に続き、視線を上げれば槍・穂高の連峰や飛騨の山なみが連なる、何とも贅沢な登りである。足下には、箱庭のような鏡平が広がっていた。
   

花見平のお花畑と双六岳(7:56)

鷲羽岳と黒岳 2622m峰より(8:19)
ハイマツに囲まれた径をたどると、雪田の残る窪地に出る。これを横切って上った稜線が花見平。広いお花畑の向こうに、穏やかに横たわる双六岳の姿があった。まさに雲上の楽園だ。このコースは、四周どこを眺めても見飽きることはない。2622m峰の北の稜線に入ると、双六小屋の赤い屋根が見えてくる。後背には雄雄しく美しい鷲羽岳が立ち上がり、肩越しに黒岳が顔を出している。
   

双六小屋(8:53)

笠ヶ岳の稜線 樅沢岳より(9:13)
ワサビ平から4時間30分で、とても清潔な感じのする双六小屋に着いた。経営者はワサビ平小屋や鏡平小屋と同じ、山岳写真で著名な小池潜さん。一度ゆっくり泊まってみたいものだ。双六小屋は双六谷(南側)とモミ沢(北側)の鞍部にあるため、風通しがよく、じっとしていると寒いぐらいだ。石屑の斜面を登って樅沢岳の頂上に立つと、辿ってきた稜線の先に笠ヶ岳がのぞいていた。
   

樅沢岳山頂(9:26) 

西鎌尾根と槍ヶ岳 樅沢岳東峰南面より(9:41)
樅沢岳西峰の頂上は、登山道から外れたハイマツ帯の中にあり、西鎌尾根と槍・穂高連峰のパノラマが広がっている。道沿いの標柱のある所は、北側の大展望地だ(野口五郎岳、鷲羽岳、薬師岳、双六岳など)。樅沢岳での山座同定は、高年の写真家とポーター役の若者の二人連れに御教示いただいた。ひょっとしたら、小池潜さんだったのかもしれない。西鎌尾根と槍の穂先は、まだ遠い。
   

硫黄沢と赤岳 硫黄乗越附近より(10:09) 

千丈沢乗越(11:40)
樅沢岳東峰の南面を回りこんで、小さなアップダウンを繰り返して下った鞍部が硫黄乗越。源頭から硫黄沢にかけてお花畑が広がり、その奥に赤い岩肌を露にした赤岳が控えている。何とも印象的な風景。硫黄乗越からが西鎌尾根。左俣岳を過ぎるころには雲が湧いてきて槍の穂先は隠れてしまった。縦走路は痩せ尾根や蛇紋岩の岩屑の径が続くが、四周の見通しは良く、千丈沢乗越までは稜線漫歩。シャリバテしそうなので、乗越の手前で昼食(11:03/18)にした。
   

槍の肩・西鎌尾根入口(12:30)

大渋滞の槍の穂先(13:20)
千丈沢乗越からの急登はなかなかのもの。ときおり雲が流れて小槍が顔をのぞかせる。喘ぎ喘ぎようやく槍の肩に到着。早速、肩の小屋に駆け込み、千円の生ビールを注文する。これが美味しかったこと。一息入れているとガスが切れてきた。待機していた登山者は、我も我もと槍の穂先に取り付き、大渋滞が発生。片道20分の道程が1時間もかかる。おまけに頂上からの眺めは、切れ落ちた岩の斜面だけ。
   

モルゲンロートの槍ヶ岳
 雷鳥平の展望所より(8/10 4:51) 

日の出
 雷鳥平の展望所より(5:03)
槍ヶ岳山荘の夜は最悪で、両サイドの大いびきにウトウトすることもなく、布団2枚に3名の狭い寝床で一夜を明かした。お陰で、4時11分には出発。ヘッデン点けて東鎌尾根に取り付き、夜露に濡れた岩尾根をそろりそろりと下る。ヒュッテ大槍に着くころに東の空が明るくなってきた。雷鳥平の展望所でご来光を待つ。ここは槍ヶ岳を望む最高のビューポイントだ。そして、5時に日の出が始まった。
   

水俣乗越(5:37)

ヒュッテ西岳(6:24) 
雷鳥平から水俣乗越までが東鎌尾根の核心部だ。鉄製のハシゴや木製の階段が次々と現れ、左右が切れ落ちた狭い所もある。伯耆大山の縦走に比べれば何のことはないが…。この乗越は、北鎌尾根に取り付く際のアプローチに利用されている。水俣乗越からヒュッテ西岳までの上りも、ハシゴありクサリありの岩場が続き、一汗かく。ヒュッテ西岳は常念山脈と槍・穂高連峰の真ん中にあるため、素敵な展望地になっている。とりわけ大キレットからせり上がる北穂の眺めは迫力満点だ。
   

大天井
(おおてんじょう)ヒュッテ(8:14)

大天井
(おてんしょう)岳 牛首展望台より(8:27)
西岳で大展望を満喫。赤岩岳からは天上沢と二ノ俣谷を足下に稜線漫歩。ビックリ平から二ノ俣谷側を巻いて、大天井ヒュッテが建つ牛首のコルに出る。途中に北鎌尾根への取付(貧乏沢入口)がある。槍ヶ岳のビューポイントとして知られる牛首展望台に寄り道。顧みれば、大天井岳が眼前いっぱいに広がって、これからたどるトラバース道が手に取るように分かる。
   

切通岩(9:14) 

蛙岩
(げえろいわ)(10:29)
大天井岳の北側山腹を回りこみ、常念岳との分岐を過ぎると切通岩のクサリ場が見えてくる。高校山岳部の新入生が恐る恐る下降中で、コルで10分ばかり待機。なのに小林喜作のレリーフを見逃す始末。為衛門吊岩を過ぎ、大下りを上り返して2678m峰に立つと、蛙岩の岩峰が見えてくる。真ん中が楔形に割れて通り道になっている。この岩峰、どこをどう切り取ってみても蛙には見えない。うーむ。
   

燕山荘
(えんざんそう)(10:55)

燕岳(11:40)
余裕で燕山荘に着くが、燕岳は霧の中。とりあえず、パンと牛乳で昼食。燕山荘は、スイスアルプスのグリンデルヴァルトにでもありそうな素敵な山小屋。下界並みの昼食メニューまで用意されていた。ともあれ、燕岳に向かう。霧に閉ざされた山頂域も、近くは見通せた。眼鏡岩など花崗岩のオブジェを観賞しながら稜線を行く。コマクサが白い砂礫の斜面をピンクに染めている。30分で、燕岳の山頂が見えてきた。
   

合戦小屋(12:27)

合戦小屋の荷揚げ用ケーブル(12:28)
燕山荘に戻ると雲行きが怪しくなってきたので、即、下山開始。雨模様にもかかわらず、登って来る人は後を絶たない。合戦小屋も満員で、名物のスイカの店は繁盛していた。
   

中房・燕岳登山口(13:54)

中房温泉(13:57)
燕山荘から2時間で中房に降り立つ。幸い、大した雨に遭うこともなく快調に下ったが、三大急登と言われるだけあって、さすがに長い。登山口の立寄り温泉施設「湯原の湯」は超満員の様子だった。中房温泉は登山口の上にある。写真の建物は別館。泊まったのは隣の本館で、風呂は立派だが、トイレ共用、部屋は暗くてかび臭く、1泊2食11,300円はちょっと高い。
   

楢沢の滝(
8/11 7:56)

有明荘(8:07)
宿に着いて降り始めた雨は激しいもので、翌日のバスの運行を心配するほどであったが、大事には至らず、すがすがしい朝を向えた。バスの時間まで間があるので、滝を観るなどして、のんびり有明荘まで歩いた。有明荘(指定管理者:燕山荘)は、中房温泉とは比べようもないほど素敵な宿だった。料金は中房温泉と同じ1泊2食11,300円とか。温泉めぐりはないけれど、こっちのほうが断然良い! 失敗したぁ~。
   

双六岳から黒部五郎岳にかけての稜線 樅沢岳より(8/9 9:22)
   

槍・穂高尾根と北鎌尾根 西岳・赤岩岳の稜線より(8/10 6:57) 
出会った草花 

ヤグルマソウ(矢車草) ユキノシタ科 

キヌガサソウ(衣笠草) ユリ科 

シラネセンキュウ(白根川芎) セリ科 
     

ヤマブキショウマ(山吹升麻) バラ科
 

マルバダケブキ(丸葉岳蕗) キク科 

クルマユリ(車百合) ユリ科 
     

ミヤマオトギリ(深山弟切) オトギリソウ科 

トリアシショウマ(鳥脚升麻) ユキノシタ科

モミジカラマツ(紅葉唐松) キンポウゲ科
     

オオバミゾホウズキ ゴマノハグサ科 

オオレイジンソウ(大伶人草) キンポウゲ科

ミソガワソウ(味噌香草) シソ科 
     

ニッコウキスゲ(日光黄萓) ユリ科
 

ウサギギク(兎菊) キク科

ミヤマトリカブト(鳥兜) キンポウゲ科
     

ハクサンイチゲ(白山一華) キンポウゲ科 

ハクサンフウロ(白山風露) フウロソウ科 

ハクサンフウロ(白山風露) フウロソウ科
     

ミヤマリンドウ(深山竜胆) リンドウ科 

ヨツバシオガマ(四葉塩釜) ゴマノハグサ科

ミヤマダイモンジソウ ユキノシタ科 
     

ゴゼンタチバナ(御前橘) ミズキ科

ミヤマアキノキリンソウ キク科 

コイワカガミ(小岩鏡) イワウメ科 
     

チングルマ(稚児車) バラ科 

ミヤマダイコンソウ バラ科 

ミヤマホツツジ(穂躑躅) ツツジ科
     

オニシモツケ(鬼下野) バラ科

オタカラコウ(雄宝香) キク科

コバイケイソウ(小梅形草) ユリ科 
     

イワギキョウ(岩桔梗) キキョウ科 

ミヤマキンバイ(深山金梅) バラ科

エゾシオガマ ゴマノハグサ科 
     

クロトウヒレン(黒唐飛廉) キク科 

ミネウスユキソウ(峰薄雪草) キク科 

イブキジャコウソウ(麝香草) シソ科
     

チシマギキョウ(千島桔梗) キキョウ科 

トウヤクリンドウ(当薬竜胆) リンドウ科

コガネギク(黄金菊) キク科
     

タカネナデシコ(高嶺撫子) ナデシコ科

ベンケイソウ(弁慶草) ベンケイソウ科

ヨツバシオガマ ゴマノハグサ科 
     

イブキトラノオ(伊吹虎尾) タデ科 

コマクサ(駒草) ケシ科 

ミヤマコゴルグサ ゴマノハグサ科 
     



軌跡図 
                                                   所要時間:139時間01分、歩行距離:35.7㎞